
絵本作家の祐彩(ゆうせい)です。
あるお昼時、チョココロネを見て、ふと思ったんです。「コロネのおしりって、どっちなんだろう?」
太いほうから食べる人もいれば、細いほうから食べる人もいる。どっちも間違いじゃないけれど、はっきりとした答えもない。
そのあいだにあるフシギが、物語の出発点になりました。
主人公のコロネは、みんなにたずねて歩きます。でも、プリンもパフェも、おだんごも、それぞれ言うことが違う。
たくさんの意見を聞くたびに、ますますわからなくなっていくコロネの姿は、どこか人の心を映し出しているよう。
何が正しいかは、すぐには見つからない。でも、わからないからこそ、考えて、感じて、成長していく。
コロネが悩みながらも、自分のカタチを見つけていく姿は、まるで子どもが新しい世界を学んでいくシーンのよう。
「失敗した」「迷った」と思っても、それは次の一歩へつながる途中のワンシーン。
この絵本『コロネのおしりはどっち?』を通して、そんな、やわらかな成長の瞬間を感じてもらえたら嬉しいです。
絵本おはなしの終盤、コロネは自分のカタチを作ります。まるで、殻を脱ぎ捨てるように。
でもそれは、何かを手放すというより、新しい自分を見つける瞬間なんです。
子どもたちが少しずつこの世界と出会っていくように、大人もまた、何度だって自分を作り直していける。
そんな優しいメッセージが、このコロネの姿に重なるのではないかなって、思うんです。
子どもと一緒に笑って、ときどき立ち止まって考えて、また笑い合う。
『コロネのおしりはどっち?』は、そんな穏やかな時間をくれる絵本なのかなって、読者さんの声を聞いて思うようになりました。
絵本を読み終えたあと、「自分で決める」という事に限らず、「それぞれの考えがあっていい」と
やわらかく感じてもらえたら嬉しいです。
「ところでこのかたち、どっちがおしり?」
コロネのこの言葉は、答えを求めるための問いではなく、「考えるきっかけ」として、そっと心に残るのではないでしょうか。
正解を探すのではなく、感じるままに、思うままに…。
そんな絵本の世界を、ゆっくり味わってみてくださいね。

心にあかりが灯る体感型絵本ショー『ライブ絵本ルーミーパーク』でも、絵本『コロネのおしりはどっち?』を上演中です。
ぜひ遊びに来てくださいね。