
絵本作家の祐彩(ゆうせい)です。
子どもは一日に何回「なんで?」と言うのでしょうか。
大人が想像するよりずっと多くて、その一つひとつに、実は大切な“未来の力”が隠れています。
なぜなら「なんで?」は、自分で世界を理解しようとする最初の一歩だから。
そして、その問いに寄り添える数ある絵本のひとつに、拙著『コロネのおしりはどっち?』も、ちょっぴり恥ずかしそうにすみっこの席に座っています。
大人からすると説明が難しいことでも、子どもにとっては純粋な探究心から生まれる自然な問い。
たとえば、雲はなんで動くの?
どうして夜は暗いの?
なんでコロネのおしりはわからないの?
子どもにとっての「なんで?」は、ただの疑問ではなく、世界を自分の言葉で捉えるための訓練でも あると思うのです。
この力は、のちのち
・自分で考える
・選ぶ
・決める
という成長の土台になる、とても大切な力だと考えています。
絵本『コロネのおしりはどっち?』には、はっきりとした正解がありません。
読むたびに迷って、見る角度で意見が変わって、大人同士でも結論は出ない。
だからこそ子どもはすぐに言います。
「なんで?」
「どうしてそっちが頭なの?」
「こっちじゃないの?」
この絵本は、正解を求める物語ではなく、問い続けてもいい世界を体験できる物語なのだと思います。
子どもの「なんで?」に、無理に正しい答えを返さなくてもいいと思います。
僕は昔から意識して、「なんでだと思う?」と聞き返すようにしています。
するとおもしろいことに、子ども自身が思考や想像力をめぐらし始めるのです。
親子で対話して、一緒に迷って、笑って、考えてみる——
その積み重ねが、子どもにとっての大きな未来の宝物になるのだと思っています。
絵本『コロネのおしりはどっち?』は、もしかしたら絵本を読み終えてからが、本番なのかもしれません。
パン屋さんや、食事中、お散歩の途中で、「なんで?」が自然とこぼれてくる。
大げさにいうと、世界のあらゆるものに、問いを向けてみたくなるかもしれません。
毎日の中で、問いが続く体験のできる絵本は、『コロネのおしりはどっち?』に限らず、たくさんあると思います。
ぜひご自身やお子さんに合った、問いが続く絵本を探してみてください。
これからの社会では、正解を早く答えることよりも、「自分で問いを立てられる力」が大切です。
その力は、幼児期の「なんで?」からすでに始まっています。
絵本『コロネのおしりはどっち?』は、その問いを育て、想像力を掻き立て、親子の対話をそっと後押ししてくれる絵本なのかもしれません。
「なんで?」がたくさん出てくる子ほど、この社会で、自分らしい人生を大きく切り拓いて行くのだと思います。
その第一歩を、ぜひ絵本と一緒に楽しんでみてください。

あなたの感性や想像力に触れる体感型絵本ショー『ライブ絵本ルーミーパーク』にも、ぜひ遊びに来てくださいね。