
朝ごはんの時間。
トーストの香ばしい匂いが部屋に満ちて、子どもがちぎったパンを見せながら「うさぎみたい!」と笑う——そんな瞬間って、とても愛おしいですよね。
祐彩(ゆうせい)が描いた絵本『コロネのおしりはどっち?』は、パンを食べる時間と、相性がとてもいい絵本なんです。
それは、ただパンが主人公だから、という理由だけではありません。
親子の会話が自然と広がる「余白」がたっぷりある物語だからです。
食卓は、家族が一番リラックスしている場所。
そこにこの絵本『コロネのおしりはどっち?』を置くと、決まって起きるのはこんな会話です。
「どっちがおしりだと思う?」
「なんでそっちが頭だと思ったの?」
「もし自分がコロネだったらどうする?」
この絵本の面白いところは、
大人も子どもも「本気で迷ってしまう問い」があること。
短い物語なのに、ページごとに
「へぇ〜!」
「そう考えるのもアリだね」
「えっ、ママはそっちなの?」
そんな「ズレの楽しさ」が生まれます。
このズレこそ、親子の会話が弾む魔法。
誰も正しくなくて、誰も間違っていない。
その安心感が、食卓にやわらかく広がっていきます。
絵本『コロネのおしりはどっち?』の読者さんからよく聞くのが
「パン屋さんでコロネを見るたびに“これはどっちが頭?”って話してます」
という声。
つまり、
絵本の世界が食卓の外まで伸びていくのです。
コッペパン、メロンパン、カレーパン、クロワッサン……
どれも形が違うから、問いも違ってくる。
こうした観察ごっこが、子どもの想像力を自然に育てながら、親子の「共有できる視点」を増やしてくれます。
「見方を変えると、世界はもっと面白くなるんだよ」
そんなことを、遊びながら覚えていけるのも魅力です。
毎朝の準備に追われていると、つい会話が「早くして!」「食べちゃって!」になりがちですよね。
でも、コロネの絵本が一冊食卓にあるだけで、たった1分のやりとりでも、空気が少しだけ和らぎます。
「今日のコロネくんはどっち向いてる?」
「昨日はママとパパで意見が違ったよね」
そんな会話があると、“ただの朝ごはん”が“小さな遊びの時間”に変わります。
親子の会話って、気合いを入れなくてもいいんです。
必要なのは、話せるきっかけが目の前にあること。
この絵本は、そのきっかけを自然に作ってくれるんです。
パンを食べているとき、子どもは形やちぎれ方の変化にとても敏感です。
そしてその観察眼は、“答えのない問いを楽しむ力”へとつながっていきます。
「これ、おしりっぽい」
「いや、こっちが顔に見える」
そういう直感的な発見は、子どもにとって立派な「創造の芽」です。
そして、それを否定せずに楽しむ大人の姿勢が、親子の信頼関係や安心感にもつながっていきます。
絵本『コロネのおしりはどっち?』は、読み聞かせだけの絵本ではありません。
このえ本を食卓にあることで、会話が生まれ、笑いが生まれ、親子の視点が重なったり、少しずれたりしながら、「一緒に考える」体験が積み重なっていきます。
忙しい日々だからこそ、食事をしながらの小さな会話が宝物になるもの。
パンをちぎる手と、ページをめくる手の距離はとても近い。
その距離が、親子の心の距離もそっと縮めてくれるのですね!
絵本『コロネのおしりはどっち?』は、ライブ絵本ルーミーパークでも上演中です。会場の子どもたちが、「あっち〜!こっち〜!」と、手を挙げながら大盛りあがりになる演目です。
