
絵本作家の祐彩(ゆうせい)です。
子どもたちと一緒にいると、「そんな考え方があったんだ!」と驚かされることがあります。
見慣れたパンも、雲のかたちも、彼らの目にはまるで別の世界に見えている。
大人が「正解」を探しているあいだに、子どもは「おもしろさ」を見つけているのかもしれません。
絵本『コロネのおしりはどっち?』は、チョココロネが自分のおしりを探す物語です。
世の中には、チョココロネを小さいほうから食べる人もいれば、大きいほうから食べる人もいる。
つまり、どっちも「あり」なのです。
この「どっちでもいい世界」というのは、ちょっとした自由を思い出させてくれます。
何かを決めるとき、「正しさ」よりも「自分らしさ」で選んでもいい。それが、創造力のはじまりになることがある。そう、僕は思っています。
子どもたちは、パンに名前をつけたり、石ころをヒーローに見立てたりするのが得意です。
先日、家族で芋掘りをした娘は、お気に入りのサツマイモに名前をつけてタオルで巻いて、可愛がり始めました。
ここにあるのは、答えを出すための努力ではなく、楽しむための工夫。
この「遊び心」こそ、新しい発想を生み出す小さな芽だと思うのです。
遊びは、自由の中でしか育たない。
そして、想像力は遊び心の中でしか育たないのです。
大人になると、正しいことや効率のよさが大切にされがちです。
でも、ときどき立ち止まって、空を眺めたり、ぼーっとしてみる。
そんな「なんでもない時間」が、心の奥に新しい風を吹かせてくれることがあります。
コロネのように、コロコロと悩んだ先に見つけた自由なカタチは、誰の中にもあるはずです。
想像するというのは、現実から逃げることではなく、自分で世界をつくりなおす力です。
絵本『コロネのおしりはどっち?』を読むたび、子どもも大人も少し自由になっていく。
「こうでなきゃ」と思っていた気持ちが、ふっとやわらぐ瞬間があると思います。
それが、想像力がもたらすいちばんの魔法だと考えています。
「遊び心」と「想像する力」。
どちらも、目には見えないけれど、自分の物語を愉しみ、羽ばたくための大切な翼のようなものです。
コロネのように、コロコロ悩みながらも、自分だけのカタチを見つけていけたら…。
今日も、そんな自由な発想を大切にしたいと思うのです。

あなたの感性や想像力に触れる体感型絵本ショー『ライブ絵本ルーミーパーク』にも、ぜひ遊びに来てくださいね。