
絵本作家の祐彩(ゆうせい)です。
いまの時代にほんとうに必要な力って、なんでしょう。
先の見えにくいこの世界で、子どもたちにとって大切な武器のひとつは、きっと発想力や創造する力だと思います。
でも、それはノートに向かって唸ったり、検索で答えを探すことで身につくものではありません。
むしろ、静けさのなかにこそ、ヒントが眠っていると思うのです。
拙著『コロネのおしりはどっち?』を生み出したとき。
そして、見ず知らずの人を集め、みんなで絵本を創るというアイデアは、「なにもしない時間」から自然とうまれたものです。
実はこの「なにもしない時間」を教えてくれたのは、100エーカーの森に住む、くまのプーさんでした。
プーさんって、いつもおだやかで、急がない。
蜂蜜を食べたり、風を感じたり、仲間とおしゃべりしたり。
そんなゆるやかな時間の中で、彼はいつも大切なことを見つけています。
脳科学では、この「ぼんやりしている時間」に働くのが『デフォルト・モード・ネットワーク』と呼ばれる神経の活動だそうです。
僕はそれを「創造の余白」と呼んでいます。
この余白をつくることで、ふっと思いつく。
新しい物語の糸口が見えたり、行き詰まっていた答えが自然に浮かんでくる。
祐彩(ゆうせい)の場合の「なにもしない」はこんな感じです。
五感をひらき、内側と外側の両方とつながる。
そのとき、心の中で静かに何かが熟していくような感覚になります。
「なにもしない」ことは、怠けることではありません。
むしろ、自分の感性を思い出し、信じる練習なのだと思います。
常識や効率を少し脇に置いて、ただ自分の呼吸と世界の音を聴く。
それが、僕にとって創作のはじまりだったりするのです。
あなたにとっての「なにもしない時間」は、どこにありますか?
スマホを置いて、ただ空を見上げてみるのもいいかもしれません。
大切なものは、意外とそんな静けさの中にある気がします。
だから僕はよく、締め切りの原稿に留守番を頼んで、大好きな家族と「なにもしない時間」を探しに森に行きます。
なぜなら、それが夢をかたちにする、いちばん確かな方法だと、プーさんが教えてくれたからです。
想像からカタチになった、心にあかりが灯る体感型絵本ショー『ライブ絵本ルーミーパーク』にも、ぜひ遊びに来てくださいね。
