
絵本作家の祐彩(ゆうせい)です。
たくさんのパンたちが並ぶお店。
どれもおいしそうで、どれも個性的。
でも、主人公のチョココロネは少し困っています。
「ぼくのおしりって、どっちだろう?」
ほかのパンには「みみ」や「おへそ」があって、
だれが見てもちゃんとわかるのに、コロネだけはわからない。
太いほうから食べる人もいれば、細いほうから食べる人もいる。
自分は、どっちなんだろう…。その小さな疑問のような違和感が、絵本『コロネのおしりはどっち?』のはじまりです。
コロネは、モンブランやクレーム、プリン、パフェなど、いろんなカタチをしたお菓子たちに聞いてまわります。
けれど、どの答えも少しずつ違う。そして、どれも間違いではない。
そんなコロネの姿を見ていると、感じることがあるかもしれません。
みんなカタチも味も考え方も違う。その違いが、そのお菓子らしさなんじゃないかなって。
絵本『コロネのおしりはどっち?』には、誰かと無理に比べたり、合わせようとするシーンはありません。
むしろ、自分のおしりがどっちか悩むコロネの姿を通して、「違っていてもいいんだ」という気持ちを
自然と感じるのかもしれません。
それはまるで、お店に並んだパンやお菓子たちが、それぞれのおいしさでキラキラしているような風景。
ライブ絵本ルーミーパークでこの絵本を上演していると、「コロネくん、なんかいいな!」「わたしもコロネみたいでいいんだ」
そんな風に観ている親子がいるような気がするのは、気のせいなのかそうじゃないのか、いまだ謎ですが、笑ったりニコニコしたり真剣に観たりしている人が多いのは確かです。
小さなころは、まわりと同じようにできることが褒められやすいことがあります。
しかし、子どもが本当にのびのび輝くのは、「自分らしいかたち」を見つけた時だと思うのです。
絵本『コロネのおしりはどっち?』は、そんな瞬間を、やさしく見守ってくれるような絵本なのかもしれません。
「みんなと違っていい」その言葉を声に出さなくても、ページをめくる時間の中で、自然と感じられる。
子どもにも、大人にも、あたたかなじぶん時間をくれるおすすめ絵本です。

心にあかりが灯る体感型絵本ショー『ライブ絵本ルーミーパーク』でも、絵本『コロネのおしりはどっち?』を上演中です。
ぜひ遊びに来てくださいね。