
絵本作家の祐彩(ゆうせい)です。
子どもが「何かを自分で決める」こと。それは、大人が思っているよりもずっと勇気のいることだと思います。
絵本『コロネのおしりはどっち?』では、そんな小さな勇気と、迷いながらも前に進もうとする気持ちをチョココロネを主役に描きました。
「自分のおしりはどっちだろう?」と迷うコロネが、まわりにたずね、自分なりの答えを探していくストーリー。
それはまるで、子どもたちが日々のなかで向き合っている「自分を信じてみる瞬間」に、どこか瓜二つな気がするのです。
コロネは、プリンやパフェなど、いろんなカタチの友だちに聞いてまわります。
「大きいほうがおしりだよ」「小さいほうだよ」みんな違うことを言うたびに、コロネはどんどんわからなくなっていきます。
この姿は、子どもたちだけでなく、僕たち大人にも少し重なるところがあるかもしれません。
まわりの声や「正しそうな意見」に振り回されて、自分の本当の気持ちが見えなくなる…。
けれど、お団子のあるひと言で、コロネの世界は変わっていきます。
何気ない一言が、迷路で彷徨っていたコロネを、ジャンプさせたのです。
物語の最後にコロネは、どっちがおしりとか関係ない、自分なりの答えを創り出します。
そのカタチは、「自分で決めること」そのものの象徴なのかもしない。
迷っても、自分で選んでみたとき、子どもの中に小さな光がキラリと光る瞬間。
それは子どもにとって「できた!」という喜びだったり、自分を少し信じられた誇らしさでもあったりするんじゃないかなと思うのです。
コロネが悩んで、考えて、決める姿を見ながら、子どもたちは無意識のうちに「自分ならどうするかな?」と感じるかもしれません。
絵本を読む時間は、ただお話を聞くだけでなく、心の中で「自分だったら…」といった、たくさんの選ぶ練習をしていると思うんです。
その中で生まれる気づきは、きっと日々の小さな選択にもつながっていくのではないかなぁ…とほそぼそと思っています。
『コロネのおしりはどっち?』は、子どもが面白がりながら、自分で決めるっていいかも〜!と感じられる絵本なのかもしれません。
そして、大人が読むんだ時、「わたしも自分の気持ちを大切にしてみようかな」なんて、どこか心がやわらかくなる物語でもあったら嬉しいなと。
まぁ、そんな大人的な思考は二度と開けないかもしれない引き出しに入れておいて、お子さんと「コロネのおしり、どっちだと思う?」なんて、おしゃべりがはじまったらとても嬉しいです。
その何気ない会話の中に、きっと何かしらの芽が、そっと育っていくのだと思っています。

心にあかりが灯る体感型絵本ショー『ライブ絵本ルーミーパーク』でも、絵本『コロネのおしりはどっち?』を上演中です。
ぜひ遊びに来てくださいね。